【下関市】埋もれた記憶と、拾われる希望──汐入海岸の清掃ボランティア活動

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

2025年5月30日、土曜日の朝。汐入町の海岸に、トングとゴミ袋を手にした人たちが集まり始めました。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

向かう先は、かつて地元の子どもたちが夏を過ごした思い出の場所、汐入海岸です。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

子どもたちが列をなして降りていった階段は、今では草に覆われ、コンクリートは崩れかけ、足元は悪く、地元自治会により非公式に立ち入りが制限されている場所となっています。

ボランティア発起人のそ たけき(蘇 丈喜)さん

清掃活動の発起人である、そ たけき(蘇 丈喜)さんは、2024年12月、海外からの帰国後にこの海岸を久しぶりに訪れ、その変わり果てた姿に衝撃を受けたといいます。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

そこにあったのは、記憶の中の美しい風景とはまるで違う光景。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

プラスチック容器、ペットボトル、漁具の破片、包装ごみ、そして、それらにまじって波に運ばれた石。想い出の海岸は、もうどこにも見えませんでした。

ボランティア発起人のそ たけき(蘇 丈喜)さん

「見て見ぬふりはできなかった」そう語る、そ たけき(蘇 丈喜)さんは、その日から毎日一人で海岸の清掃を始めたそうです。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

最初に手を貸してくれたのは、親しい友人の一人でした。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

そこからまた一人、また一人と仲間が増えていき、やがてInstagramを通じて呼びかけたボランティアが集まるようになりました。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

一見すると、海の水はきれいに見えます。

ボランティア発起人のそ たけき(蘇 丈喜)さん

しかしその中には、砕けたプラスチック、いわゆるマイクロプラスチックが混ざっているそうです。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

魚がそれを食べ、人がまたその魚を食べる。人が出したごみは巡り巡って、いま私たちの食卓にのぼり、人の健康をも脅かすようになっていると。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

この日も、母親に連れられた小さなお子さんが清掃活動に参加している姿が見られました。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

小さな手で一生懸命にごみを拾う子ども。その手が拾い上げているのは、この子どもたち自身の未来なのかもしれません。

汐入町自治会会長様

活動に参加していた地元・汐入地区の自治会長も、当時を振り返りながら話してくれました。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

「昔の海は、本当にきれいでした。水は透き通っていて、遠浅の浜辺を子どもたちがウニやサザエを探して走り回っていましたよ」長州出島の建設によって潮の流れが変わり、浜には石が打ち寄せるようになったそうです。

人々がこの海岸を訪れなくなったのは、今からおよそ10年前のこと。

ボランティア発起人のそ たけき(蘇 丈喜)さん

けれど、そ たけき(蘇 丈喜)さんの呼びかけに応えるように、もう一つの“潮の流れ”が少しずつ変わり始めたのかもしれません。こうして再び、人がこの海岸に集まり始めているのです。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

静かに波を揺らす母なる海は、

かつてと変わらず、そこに在り続けています。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

けれど、その海にはいま、“人が出したもの”が混ざってしまっている。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

母は、何も言わずに、ただ待っているのでしょうか。誰かが振り返ってくれるのを。誰かが「ありがとう」と手を差し伸べてくれるのを。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

ほんの少しの時間と、ほんの少しの想いを、この海に向けてみてもいいのかもしれません。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

次回の清掃活動は、2025年6月21日(土)に予定されています。雨天の場合は翌週へ順延となるそうです。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

参加は自由で、活動の詳細はInstagramで発信されています。

2025年5月31日撮影・海岸清掃の様子

(そ たけき(蘇 丈喜)さん、ボランティア活動に参加されているみな様、取材にご協力いただきありがとうございました。)

月に一度、ボランティア清掃が行われている汐入海岸入口はこのあたり↓

 

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